短足の基準とは?男性・女性別の基準やイリザロフ法をはじめとした治療法について探る

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そもそも短足ってどういう意味?

短足とは?

短足とは文字通り「足(脚)が短い」状態のことを言います。それだけで済むなら簡単なのですが、そういうわけにはなかなかいかないものです。じつは「短足」という表現には非常に曖昧な面があり、基準が難しい面もあるのです。

この点についてはちょっと考えればすぐに理解できます。例えば身長170センチで股下が74センチの人と、身長150センチで股下が70センチの人はどちらが「短足」なのか?

単純に「脚の長さ」だけで考えるなら身長150センチの人の方が「短足」になるわけですが、実際にこの二人が並んで立ったとしたら、見た人のほとんどすべてが身長170センチの人を「短足」とみなすでしょう。

短足は、相対的な言葉

つまり「短足」とは絶対的な脚の長さについて評価した言葉ではなくて、相対的な長さを評価した言葉なのです。もっと簡単に言えば短足とは「体全体に対して脚がどれだけ長いか/短いか」で決まる言葉なのです。

とくにスタイルがいいか悪いかとか、モテるスタイルかどうかを考える場合には全体のバランスがとても重要になります。脚が長いだけでなく胴が短い方がカッコよく見えるものですし、さらに顔が小さければ完璧でしょう。よく「胴長短足」と言われるように足が短いだけでなく胴が長いとスタイルの面で評価が低くなってしまうわけです。

短足の基準は、股下比率

ですから自分が短足なのどうか気になっている方は、股下の長さを計るだけでなく身長・胴体とのバランスもよくチェックしてみましょう。その際によい基準となるのが股下比率です。要するに身長に対して股下の長さがどれぐらいか、を示す数値です。

脚の長さが身長の半分まであれば股下比率は50パーセント。これを理想としている方も多いでしょう。しかし実際に股下比率が50パーセントある人は滅多にいません。

股下比率49%はトップクラスモデル

この点に関しては面白いデータもあって、パリコレクションに出るレベルのトップクラスのモデルの股下比率で49パーセントの数字が出ています。股下比率が49パーセントあれば「脚がとっても長くてスタイル抜群」となるわけですね。

日本人男性で股下比率45%以下なら短足

では逆の短足の基準はどうなるのでしょうか?日本人の平均的な股下比率のデータがあります。それによると日本人男性の平均が約45パーセント。身長170センチの人なら股下76.5センチあれば平均値、まあまあの脚の長さということになります。まずあなたの身長と股下を測って股下比率を確認してみましょう。

股下比率44%はちょっと足が短い

これが44パーセントになると「ちょっと脚が短い」レベル。ただ服を着た状態ではあまり脚の長さは目立ちません。

股下比率43%ならパッと見て短足

これがさらに短くなって43パーセントになるとパッと見た段階で短いと思われてしまうレベルになります。とくに身長が高い人がこの数字くらいになると足が短いだけではなく、胴が長いのが目立ってしまう面があります。

ですから短足の基準は股下比率が45パーセントに達しているかどうか、そして44パーセントよりも下の場合はスタイルを評価される上でかなりマイナス材料になってしまう、ということになるでしょう。

短足の基準は胴の長さとのバランス

すでに何度か触れていますが、短足の基準に関しては脚の長さだけでなく胴の長さとそのバランスも全体の印象に大きく左右します。そうなると座高の数字も気になるものです。あるデータによると日本人の平均座高は男性で90.29センチ、女性で83.65センチとなっています。

日本人男性の平均身長170cm、股下76cm前後

日本人男性の平均身長が約170センチですから、座高が90センチ前後、股下が76センチ前後くらいが平均的なスタイルということになるわけです。座高の高さは座った時に脚が短いのがバレてしまうという点でちょっと悩みのタネになる面もあります。

男性は女性の足の長さを気にしない

もうひとつ、気になる点として男女別のデータについても見ておきましょう。短足の悩みを抱えている男性はあまり女性の脚の長さについてあまり目を向けていない傾向があります。どうしても女性からの評価や視線が気になるからでしょう。しかし実際に男女別のデータを見ると面白い事実が明らかになります。

男性よりも女性の方が短足だが、女性は短足に厳しい社会の不合理

先述したように男性の平均股下比率は45パーセントほどですが、女性は平均で44パーセントとなっています。つまり男性よりも女性の方が全体平均として「短足」というわけです。男性の脚の長さを厳しく評価しているわりには女性の方が短いという現実が存在していることになります。

股下比率44%でちょっと足が短いと言われる

平均の股下比率が44パーセントということは、男性にとって「ちょっと脚が短い」レベルが平均で、女性にとって「ちょっと脚が短い」レベルは男性にとって「短足」として扱われるレベルということになります。

実際の話として一見して脚が短いと感じるスタイルの人は男性よりも女性の方が多い傾向があります。この点は短足の悩みを抱えている男性にとって慰めになるかどうかはわかりませんが、脚の長さや短足の定義について男女差があることは知っておいて損はないでしょう。

女性はスカートを履いて短足をカバーできる

ただ女性の場合、スカートを履くことで短足をカバーできる面がありますし、逆に足が長い女性がパンツを履くと非にスリムでカッコよく見える面もあります。つまり女性の方がファッションで短足をカバーしやすく、脚長のメリットを引き出しやすいとも言えそうです。

この点に関しては女性の方が男性よりも脚が細いので脚長だととてもスタイルがよく見えるという身体上の違いもあるでしょう。ただし逆に言えば脚が短くて太い女性はかなり不利になってしまいますが。

短足を治療する方法はある?

股下比率が44パーセント以下で短足の悩みを抱えている人はどうすればいいのでしょうか?脚を長くするいい方法はないのでしょうか?脚を伸ばすということは身長を伸ばすということですから、大人になってからではなかなか難しいというのが現実です。しかし最後の切り札とも言える方法があります。医学的な手術を受けることで身長を伸ばし、脚を長くする方法もあるのです。

骨延長術

この治療法は「骨延長術」とも呼ばれ、文字通り骨を伸ばすために外科的な手術を行う方法です。脚の骨を伸ばすことで身長と脚の両方を長くすることができるわけです。

リザロフ法、ISKD法

この骨延長術には現在2つの方法があり、どちらも医療機関で手術が行われています。1つ目はイリザロフ法、もう一つはより新しいISKD法(アイエスディー法と読みます)。

意図的に骨を切ることで再生を促す

もともとこれら骨延長術は外傷などで脚が短くなってしまった場合や、先天的な骨の疾患で低身長や短足の問題を抱えている場合に行われるもので、意図的に骨を「切る」ことで再生を促します。骨折させたうえで身体の再生/治癒力を利用して伸ばす方法と言えるでしょう。

「骨を切るの?」と驚く方や怖く感じる方もいらっしゃるかもしれません。具体的にどのような方法なのか、2つの方法にはそれぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。

イリザロフ法とは?

あまり名前は知られていませんが、歴史は古く1960年代に生まれた骨延長術です。名前はこの治療/手術法を開発したロシア人の医師「ガブリル・イリザロフ」を由来としています。

まず骨を切って骨折した状態を作り、その折れた(切れた)部分を少し離した状態で器具で固定します。そうすると骨が再生していく過程で離された部分を埋め合わせるような形で骨が伸びていくのです。なお、この手術は通常脛骨の部分だけに行われます。

この手術と術後の固定を行うことで最大で10センチくらい身長を伸ばすことができるといわれています。脛骨の骨を伸ばすわけですから、脚も長くなるというわけですね。

そのメカニズムは非常にシンプルなのでわかりやすい手術とも言えます。ただ意図的に切った骨を正しく修復させるためにも術後のリハビリなどを慎重に行う必要があります。まず術後は骨をしっかり固定させる必要があるので自由に動くことができません。ただ固定する器具(創外固定器)を装着した状態で全体重を乗せて動くことができるので固定させた後はそれほど日常生活に大きな支障をもたらすことはありません。

治療期間(身長が伸びるまでの期間)については手術の内容やどれだけ身長を伸ばすかによっても異なりますが、通常なら1年くらいは必要です。

ISKD法とは?

一方のISKD法ではまず骨を意図的に切るところまではイリザロフ法と同じですが、その後に金属製のロッドを骨に埋め込みます。この金属製のロッドには伸縮性があり、埋め込んだ後に遠隔操作を行う形で動かしながら骨を伸ばしていく方法が取られます。切られた骨が修復/再生していく過程を確認しながらロッドを動かして少しずつ伸ばしていくわけです。

イリザロフ法は体の外側に固定器を装着するのに対してISKD法は内部に装着する。これが最大の違いとなっています。

この固定器を外側/内側のどちらに装着するかによってどんな違いが生じるのでしょうか?内側に埋め込むISKD法には手術の傷跡が残りにくい、痛みが少ないといったメリットが見られます。より新しい手術方法ということもあって全般的に患者への負担が少ない面があるのです。また骨延長術のリスクとして挙げられる術後の感染症のスクもイリザロフ法に比べると低く、安心して受けられる面もあります。

あと無視できないポイントとしては内部に埋め込むので器具を使っているのが他の人に知られにくいため、周囲の目が気にならずに受けることができます。治療にかかる期間に関してはイリザロフ法と同程度と言われています。

こうしたメリットがあるため、現在ではISKD法の方が主流になりつつあります。ただし、手術の効果に関してはイリザロフ法の方が高いと言われており、先述したようにこの方法だと最大で10センチほど伸ばすことができるのに対してISKD法では8センチ程度が限界とされています。

そしてもうひとつ、日本人にとっての大きな問題点はそもそも日本でISKD法を行っている医療機関はごく限られている点です。そもそも骨延長術そのものが日本ではあまりポピュラーなものではなく、さらにISKD法を行っているところが限られてくるとなると安心して手術を受けられる医療機関を見つけるのに苦労することになります。

なおISKD法はアメリカではかなり広く行われているため、短足の悩みを抱えている日本人の中には渡米して手術を受けるケースも見られます。費用や言葉の壁などハードルは多いですか、ひとつの選択肢として頭に入れておくとよいかもしれません。

これらの治療法の注意点

注意点並びにデメリットとして、これらの治療法で短足を解消する場合にはあらかじめ知っておかなければならない点があります。まず手術を受けられるか、受けられるとすれば保険適用となるかです。

すでに触れたようにもともとこの手術は怪我や先天的な問題で骨の疾患を抱えている人の治療法として行われています。ですからそうした疾患を抱えておらず、単に「脚を長くしてスタイルを良くしたい」という理由で手術を受けようとしても受けられないケースがあります。

あくまで身長が低い/脚が短い状況が日常生活に支障をもたらしたり、社会生活に制限をもたらしている場合にのみ行う医療機関も多いのです。「女性モテなくて不自由している」程度の理由では認められないかもしれません。

さらに短足を解消したためにこれらの骨延長術を受けることができたしても自由診療、つまり保険適用外で全額負担となります。自由診療なので具体的な費用は各医療機関によって異なりますが、150万~200万円程度が相場です。

ここまで出す気があるか、出してまで短足を解消したいほど悩みが深刻なのか、よく考えてみてから判断したいところです。

あとは治療とリハビリが完全に終わるまでは日常生活のさまざまな場面で不自由を感じる機会があるのを覚悟しなければならないこと、その期間が1年以上と長くなることも注意しておく必要がありそうです。

これらの治療法はあくまで最後の選択肢に!

こうした骨延長術は体の成長が止まってしまった人にとっては身長と脚を伸ばす最後の手段とも言えるものです。とはいえいろいろな面で負担が大きいのも事実。その前にファッションなどで短足をうまくカバーする、経済力や振る舞いなどでスタイルのマイナス面を補う魅力を身につけるといった対策を真剣に実践していきましょう。

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