ロードバイクに乗ろうとすると、短足のせいでなかなかフィットしないと感じる人も多いでしょう。これはお国柄によるものが影響しています。ロードバイクの本場は欧米です。
欧米人を基準に、フレームサイズなどが製作されています。日本人、とりわけ短足の人からすると、少し持てあますところが出てくるのです。
10cmの差が問題に
日本人と欧米人で平均身長10cm差がある
欧米人は、日本人を含めたアジア人と比較して、体格が大きめです。欧米人の成年男子の平均身長は大体180cm前後ですから、欧米のMサイズは180cmくらいです。一方、アジア人の平均身長はおおむね170cm前後と言われています。
つまり、日本人と欧米人とでは、身長で大体10cmくらいの差があるのです。これが、ロードバイク探しでネックとなります。
日本人の平均身長は直近20年で変化なし
ちなみに、日本人の平均身長は、男性で172cm、女性で158cmくらいです。多少の変動はありますが、ここ20年、この平均値はあまり大きく変化していません。
肉食もかなり浸透しており、欧米風の食事が日本人の食生活で当たり前になりました。ですから、今後この平均身長が一気に変化する可能性は低いでしょう。
日本人の平均股下
また、日本人の股下は、一般的に身長の45%と言われます。男性の平均身長をもとに算出すると、股下77.4cmです。同じように平均身長をベースにした女性の場合では、股下71.1cmとなります。
短足の場合、さらに股下の長さは短くなり、身長に占める割合が40%台前半になることもあるでしょう。股下についても、欧米人と比較すると10cm前後の差があると考えられます。
ロードバイクは欧米人を基準に作られており、フレームサイズが大きく感じられる
ロードバイクは欧米人の体格を基準に作られているため、日本人にしてみればフレームサイズもどうしても大きく感じられます。自分の股下よりも10cmも大きな人を基準に作られていれば、無理もありません。股下が日本人の平均よりも短いのなら、ますます持て余してしまうでしょう。
ロードバイクのフレームサイズの選び方
フレームサイズとは
ロードバイクを選ぶにあたって、フレームサイズは重要なポイントになります。自転車を選ぶ際には、フレームサイズが自転車のサイズを反映していると言っていいです。フレームサイズとは、ボディのBB中心からトップチューブの上端までの距離です。フレームサイズをチェックするときに注意しなければならないのは、車種によって単位の異なる可能性のある点です。
クロスバイク、MTBはインチ表示
クロスバイクやMTBの場合、日本人にはあまりなじみのないインチ表示しているものが多いです。MTBはアメリカ発祥で、クロスバイクもMTBから派生したモデルのため、アメリカで主流のインチ表記になります。
ロードバイクはメートル法が主流
ロードバイクの場合は、メートル法を採用しているものが主流です。よって、日本人が戸惑うことは少ないでしょう。ただし、メーカーによってミリメートルで表記されていたり、SMLのようなサイズ表記を採用したりしているところもありますので、注意しましょう。
ロードバイクのフレームサイズをチェックするにあたって、「C-T」や「C-C」といった表記があるはずです。前者は「センタートップ」、後者は「センターセンター」の略称です。
センタートップ(C-T)、センターセンター(C-C)とは
センタートップとは、ボトムブラケットの穴の中心からシートチューブ状面までの長さのことです。センターセンターとは、ボトムブラケットの穴の中心からトップチューブの中心前の長さを表しています。ですから、C-CとC-Tとで数値が全く異なっていても、実際には全く同じサイズのフレームだったということもあり得ます。両者を混同しないように、注意してください。
フレームサイズはサイドからクランク長が決まるため重要
ロードバイク選びの中でフレームサイズが重要なのは、この長さによって、サドルからクランクまでの長さが決まるからです。この長さと股下が一致するかどうかで、自分にフィットするロードバイクが決まるわけです。
身長はどうでもいい、股下の長さが重要
実は、ロードバイク選びの中で、自分の身長はあまり重要ではありません。まずは股下の長さがマッチしているかです。続いて、胴の長さや腕の長さが合っているかどうかで対象を絞り込んでいきます。ロードバイクが自分の体格にフィットしているかどうかは、全身ではなく、脚から手にかけてのアーチがどうなるかだと思ってください。
もしフレームサイズが大きすぎると、短足の場合は特に、足がペダルに届きにくくなります。フレームサイズが大きすぎるとどうしても動きが制約されてしまうので、その結果、重心移動も難しくなり、ロードバイクを乗りこなせない事態となってしまうのです。
トップチューブ長とフレーム形状にも注意が必要
フレームサイズの決まったところで、トップチューブの長さをチェックする過程に移行します。一昔前までは、トップチューブが水平なフレームが主流でしたから、トップチューブの長さをあまり気にする必要はありませんでした。しかし、近年のロードバイクを見てみると、スローピングフレームを採用しているモデルも少なくありません。
その結果、ホリゾンタルフレームのトップチューブと同じ長さのものを購入したら、実際に乗ってみるとハンドルにぎりぎり届くような、自分の体格には大きすぎる自転車だったというケースも出てきます。
スローピングフレームのモデルの場合、広範囲の適応身長が記載されているものが多く、身長差があっても共用できるのではないかと思われがちです。しかし、これは水平なフレームだったときはサドルに腰掛けられなかったのが、乗れるようになったくらいの違いです。乗れるようになっただけで、適正サイズであることとは意味が異なります。フレーム形状が異なると長さのイメージなどが異なってくるので、この部分には注意したほうがいいでしょう。
ロードバイクの自分にとっての適正サイズとは?
ロードバイクの適正サイズでよく陥りがちな間違いとして、カタログを過信してしまう点です。各メーカーでカタログの中に、乗車身長や推奨サイズなどが記載されています。この情報を参考にするのは構いません。
しかし、100%この情報をうのみにすると、失敗する可能性があるので注意しましょう。というのも、身長が一緒でも股下や胴の長さ、腕のリーチの長さなどは人それぞれです。また、ゆったりサイズがいいのか、少しぎりぎりのサイズがいいのか、好みも人それぞれでしょう。
例えば、短足でも胴と腕が比較的長い人の場合、乗車身長に合わせてロードバイクを購入しても、サドルをできるだけ後ろに下げて、ステムを長くしないと乗りこなせないといったことも起こり得ます。乗車身長として、ある程度の幅を持たせてカタログに記載している場合が多いのです。
もし自分の身長がその範囲の中間くらいに来ているのであれば、乗ることは可能でしょう。大体ハンドルからサドルまでの距離がプラスマイナス5cm程度なら、許容範囲として収まるからです。サドルを微調整したり、ステムを交換したりすれば、アジャストできるかもしれません。しかし、範囲内ぎりぎりの身長なのに購入してしまうと、しっくりこずに、結局新しく買い換えないといけないという事態に発展しかねないのです。
短足向けのフレームサイズ選びのポイント
以上のロードバイク選びのポイントを押さえる他にも、短足の場合にはさらに注意しなければならないポイントがあります。
ヘッドチューブ長は短いものを選ぶ
一般的なロードバイクでは、なかなか自分の体形に合わないこともあり得るので、ヘッドチューブ長は短いものを選ぶといいでしょう。短足の場合、フレームは通常よりもサドル高は低くなります。もしヘッドチューブがそれなりの長さのものだと、ハンドル落差を出しにくくなります。
ですから、標準サイズもしくはヘッドチューブの長いフレームのロードバイクを購入すると、ハンドルを低くできなくなります。特に、スポーティモデルのロードバイクを購入したいと思うのであれば、ヘッドチューブが比較的短めのものがおすすめです。
ビアンキ、フォーカスはヘッドチューブ短めのモデルが多い
ビアンキやフォーカスのロードバイクの場合、ヘッドチューブが短めのモデルも多くラインナップされています。ハンドルまでのアプローチに落差を付けたいと思っているのであれば、ビアンキやフォーカスのモデルを購入するといいでしょう。
ジャストサイズがない場合は、一回り小さめのモデルを選ぶ
なかなかめぼしいロードバイクが見つからない場合には、自分が欲しいと思っているサイズよりも一回り小さめのモデルを購入するのも一つの手です。ハンドル落差は、腕の短い人であればさほど問題ないでしょう。短足な人は、腕も短めというケースが少なくありません。
短足はセットバックの多いロードバイクもおすすめ
短足の人の中には、ひざ下が短い人もいるでしょう。もしひざ下が短ければ、サドルのセットバックの多いロードバイクを探すといいかもしれません。セットバックの多いロードバイクであれば、シート角が寝てくるからです。シート角の立ち上がったフレームよりも、寝ているフレームのほうが短足には相性が良いでしょう。75度くらいあると立ちすぎな印象があるので、もう少し寝たものを探すといいです。
ただし、このようなジオメトリは選択肢が狭いのも、また現実です。もしサドルを後ろに引きたければ、セットバックが大きめのシートポストで調整するといった対応が現実的かもしれません。
シートチューブ長が長すぎるフレームは短足と相性が良くない
シートチューブ長が長すぎるフレームは、短足にはあまり相性が良くありません。サドルの高さの調整幅に制限のあるモデルも、短足の人には合わない可能性があります。例えば、トレックのMADONEのようなモデルは注意したほうがいいです。サドル高が合わない恐れがあるからです。
その他、スタンドオーバーハイトの高いフレームも、ポジションの問題が発生しやすいので要注意です。ちょうど自転車から降りてまたがったとき、短足の場合、股間が当たってしまう恐れがあるからです。
短足の方向けのおすすめのロードバイクとは?
ビアンキ
では、具体的に短足の方向けのおすすめのロードバイクは何になるのでしょうか。まずはビアンキでしょう。創業130年を超える世界最古の自転車ブランドで、レースでも数多くの勝利を収めてきた実績があります。
ビアンキが魅力なのは、日本におけるマーケティングに力を入れている点です。ユニクロとコラボするなど、一般人にも広く認知されるような営業努力をしています。ラインナップを充実させ、短足でも無理なく乗りこなせるようなモデルを開発しています。
ピナレロ
ピナレロは、2016年にルイ・ヴィトングループの傘下に入って、高級ブランドのイメージ強化に努めています。ツール・ド・フランスで近年何度も制覇している実力派です。特に、フラッグシップモデルのDOGMAは人気です。ロンドン・デザインアワードで金賞を受賞するなど、デザイン性の高さが広く支持を集めています。流線型のフォークなどはアーティスティックな要素もあり、見ているだけでも楽しいです。
ジャイアント
ジャイアントも、おすすめのロードバイクブランドです。1972年創業ですが、いまでは自転車メーカーの中では世界最大手と言われています。カーボンバイクを量産化した世界初のメーカーとしても、業界では知られています。
「Liv」と言われる女性専用ブランドを展開し、身長150cm以下の女性でも無理なく乗れるようなサイズのロードバイクも手掛けていて、おすすめです。生産力とデータ力に強みを持ち、コスパを最大化できるような商品開発を進めています。他のメーカーと比較して、同じ価格帯であれば高品質の商品が多いのも魅力です。
短足の人でも乗りこなせるロードバイクはある
ロードバイクを短足が乗りこなすのは難しい…と敬遠している人もいるかもしれません。しかし、フレームサイズをはじめ、いくつかのポイントに留意すれば、無理なく乗りこなせるロードバイクもきっと見つかるはずです。ピナレロやビアンキなどの世界的なブランドの中にも、短足向きのロードバイクがあります。また、ジャイアントなどアジア系のブランドであれば、欧米人と比較して脚の短いアジア人が乗りこなせるようなロードバイクの製造・販売を手掛けています。自分に適しているロードバイクの条件を決めたら、その条件に合うロードバイクを探してみましょう。
短足の人はコンプレックスを抱えていて、自分はモテないと思い込んでいる人もいるかもしれません。しかし短足でもプラスアルファの価値を加味すれば、女性にモテることだって十分可能です。主なものとして、収入を上げること、もしくはおしゃれな着こなしをマスターすることのいずれかです。この2つのことが身につけば、きっと自分に自信を持って堂々と女性にも接することができるはずです。
コメント