日本人の足が短いのは正座をするせい?
正座と短足は関係ない
いきなり結論から入りますが、正座と短足との間には関係はありません。よく「成長期に正座をしていると短足になってしまう」「脚の成長が妨げられてしまう」といった意見を聞きます。このような意見がまことしやかに言われる背景には、大きく3つの理由が考えられます。
正座は脚が窮屈になる姿勢なので、いかにも成長の妨げになりそう
1つ目は、「正座は脚が窮屈になる姿勢なので、いかにも成長の妨げになりそう」というイメージです。なんとなく、脚を伸ばした状態のほうが長く、窮屈に曲げた状態だと短くなりやすい印象を持つものです。実際に正座をしていて、脚の骨格が縮んで短くなってしまうんじゃないかと不安になった経験がある方もいるはずです。
日本人はよく正座をするけど、脚が長い欧米人は正座をしないし、そもそも正座ができない
2つ目は、「日本人はよく正座をするけど、脚が長い欧米人は正座をしないし、そもそも正座ができない」という理由です。日本人の平均股下比率が45パーセント程度なのに対し、欧米人は46パーセント程度であり、客観的なデータでも「欧米人よりも日本人のほうが脚が短い」ことが証明されているわけです。
そんな欧米人は正座をする習慣がなく、そもそもできない人もいる、さらには無理して正座をしている様子を見ると、いかにも脚が窮屈そうに見えることから、「ああ、やっぱり脚が長い欧米人には正座は難しいんだな」と判断し、「日本人は正座をする習慣があるから脚が短くなるんだ」との結論に至るわけです。
昔に比べて日本人でもスリムで、体型的にも脚が長い人が増えているのは、日常生活の中で正座をする機会が少なくなったから
3つ目は、「昔に比べて日本人でもスリムで、体型的にも脚が長い人が増えているのは、日常生活の中で正座をする機会が少なくなったから」です。畳敷きの和風の家が少なくなり、フローリングの部屋では床に座り込むときにも正座をすることは少ないものです。そもそもフローリングは正座をするのに向いていません。
自然と、あぐらをかくか、椅子やソファを使うようになります。自然と脚を伸ばして過ごす時間が長くなるので、脚のスムーズな成長を促すことができるのでは?という考え方です。
この3つを見ると、「正座をしていると短足になる」という意見はいかにも信憑性があります。しかし、冒頭で挙げたように、これはあくまで俗説です。科学的・医学的な根拠はないと断言しても問題ありません。
正座をしても短足にならない理由
この3つの理由は簡単に否定できます。
正座をしていると脚が窮屈な感じがするが、問題ない
正座をしていると脚が窮屈な感じがするというのは、あくまで感覚的なものに過ぎません。そもそも睡眠中は脚を伸ばしているわけですから、ほとんどの人は脚を窮屈に曲げている時間よりも、伸ばしている時間のほうが長くなります。
「窮屈な姿勢で脚が短くなる」デメリットよりも、「脚を伸ばして脚が長くなる」メリットのほうが大きくなるはずです。しかし、実際にはそうしたことはありません。
日本人と欧米人の骨格や筋肉の付き方の違い
2つ目の理由は、主に日本人と欧米人の骨格や筋肉の付き方の違いの問題です。昔から正座をする習慣を続けてきた日本人は、正座に向いている骨格をしていると言います。また、欧米人と比較して日本人は膝の可動域が広く、より正座の姿勢を維持しやすいとも言われています。脚が長い・短いの問題ではないのです。
そもそも、日本人と欧米人の平均股下の差はせいぜい1パーセント、長さにしてせいぜい2~3センチといったところです。たったそれだけの長さの違いで、正座ができる人とできない人がはっきり分かれるほうが、ちょっと信じがたいでしょう。
欧米人やアフリカ系の人のほうが腿の筋肉が発達しているため、正座できない
あとは、欧米人やアフリカ系の人のほうが腿の筋肉が発達しているため、正座をするときにはその発達した筋肉が邪魔になって、うまく正座できないという面もあります。
日本人のスタイルがスリムで脚長になった
3つ目の「日本人のスタイルがスリムで脚長になった」のは、そのほとんどが栄養状態の改善によるものです。しかも当然、スタイルには個人差があります。たしかにスリムで背が高く、足が長い人は増えましたが、それ以上に「いかにも日本人」な体型の人がいます。こうした違いが、「日頃から正座をしているかどうか」が原因というのも考えづらいものです。
こうして見ると、冒頭の結論は動かし難く、日本人が正座をする習慣があるのと、脚が短い・長いとの間には、因果関係はないと断言しても良いわけです。
正座をするスポーツは?
武道系のスポーツ
現代では、日常生活の中で正座をする機会が少なくなっています。フローリングの家に住んでいる人ならほとんど機会がないと言ってもよいでしょう。一方、正座が基本姿勢として求められる分野もあります。典型的なのが、武道系のスポーツです。
剣道
とくに「脚が短くなるんじゃないか」と言われるのが剣道です。他の武道系に比べても、正座をする時間が長いからです。同じく待ち時間が長くなりやすい弓道も、正座をするスポーツの代表格として挙げられるでしょう。柔道や合気道ももちろんですが、こちらは剣道・弓道と比較して、正座でじっと待っている時間が多くない分、正座の時間が短くなります。
空手や薙刀
他に、空手や薙刀なども正座をするスポーツとして挙げることができるでしょう。薙刀をするのは女性が多いですが、剣道と同様に、正座をする時間が長くなるスポーツとして挙げることができるかもしれません。あとは少林寺拳法など拳法系のスポーツも挙げられますが、流派によって違いが見られます。
茶道、華道
少なくとも正座と短足に直接の関わりがない以上、短足になりたくないからという理由はこれらのスポーツを避ける理由になりません。茶道や華道といった、正座が多い文化系のジャンルも同様です。あまり気にせずに、自分がやりたい分野にチャレンジしましょう。
短足になる前に・なったあとの努力について詳しく知りたい方は、「短足の男性でも努力で身長を伸ばす!短期と中期、長期で身長伸びる、脚を長くする方法」をどうぞ。
コメント